蒙啓いたろうや

2022-01-25

この正月に、漫画をたくさん買いまくった。 中野のまんだらけと近場のブックオフを回りまくってどんどんと買い揃え、積み上がった様は軽めの要塞そのものだったけれど、一応全部読み終えることが出来た。 そこで、それらについて簡単な感想を記していきたい。たとえ簡単な文章であったとしても、それが何かになるかも知れないから... 「凹村戦争」西島大介 Amazonでセールをしていた時に読んだ「ディエンビエンフー」がかなり面白かったので、デビュー作という本作を読んでみたのだけど、かなり良かった。 凹村という閉塞した村からの主人公の脱出と、そうはしなかった主人公グループの彼らの朗らかでじっとりとした閉塞がパラレルに、皮相的になりすぎず描かれていたのが良かった。 シンプルな描線も好みだったし。 「別式」TAGRO マジでキモい男になった切鵺...←これだけで終わっても良かったんだけどもう少し付け加えると、ラストタイトルが出る演出がマジマジ格好よかった。 一瞬の決着を「じっくり」という訳でなく、数枚の絵の連続で描ききっていたのが漫画の真骨頂といった具合で印象的だった。 「夢幻紳士 幻想編、逢魔編、迷宮編、回帰編」高橋葉介 黒ベタがバッチバチに決まっていて超良かった。 話も超面白かったし、夢幻魔美也というキャラクターがとことん魅力的だった。 ポッ.../// 「妖怪ハンター 地の巻」「汝、神になれ鬼になれ」諸星大二郎 諸星大二郎の作品は以前から「暗黒神話」や「私家版鳥類/魚類図譜」などちょくちょく読んでいたが、本格的に読み始めてみようと思い上の二冊を読んでみた。 文庫サイズということでかなり小ちゃいのが難点だけど、面白かった。 有名な「ぱらいそさいくだ!」のシーンが救われなかった民の明確な救済として描かれていたのが意外で良かった。 「竜の学校は山の上」九井諒子 表題作と、魔王を倒した勇者の友人を描いた「帰郷」が良かった。 さて、ここは私のブログだから素直に書いちゃうけど、馬様の下半身をもつ馬人と猿人を描いた「現代神話」という短編に、私はかなりビビってしまった。 この作品では馬人と猿人の性質の違い等が挙げられ(馬人は勤勉で身体能力に優れているが短命、猿人は馬人に比べ体力がないといったふう)、圧倒的な差別が描かれ、小さな救いが描かれるが、私にはその救いがその圧倒的な差別を肯定できるとは到底思えなかった。なんならその差別が肯定されているようにも思えてしまった。 これはただ単に作者の引いた感情の導線に乗れなかっただけだと思うけど、ともかく「え〜〜〜〜っ!?」っと思ってしまった。 とはいえ......ま、そんなこともあっか! ここからはその他の時期に読んだ良かった漫画について書きたい。 「スペクトラルウィザード」模造クリスタル 去年の中旬に読んだ、めちゃくちゃいい漫画。 今まで読んだ漫画の中でもぶっちぎりで好きな作品だと思う。 他の人々よりも圧倒的な力を手に入れた魔術師たちは危険視され、迫害され、散り散りになってしまった。けれども彼ら彼女らは人間なので、それからも死ぬまでは生きていくというお話。 この、作品全体に通底した情緒が本当によかった。 「鬼・どろぼう・蒙古」ファンクラブ 11月ティアで買った作品。 いわゆる「コミティアその他っぽい」絵柄のコピ本なのだけど、とても好きな作品。「とても好き」という形容も正鵠を射ていないように思う。むしろ、「圧倒されている」と書いたほうがしっくり来る。 コマ割りのテンポ、発せられるセリフの一言一句、絵柄、そんなそれぞれの要素にどうしようもなく惹かれてしまっている。 そんなこともあるんですね。 疲れてしまったのでこの記事はここまでにする。 またこんど!(平沢進)